知らないと損する! 頭金づくりと住宅ローン控除の知識

住宅購入の際にはほとんどの人が金融機関の住宅ローンを利用すると思います。
住宅ローンを組むとはいえ、将来を考えるとなるべく多く準備しておきたいのが頭金。
そして住宅ローン控除の知識も欠かせません。

今回は知らないと損をする、頭金の貯め方と住宅ローン控除の知識についてご紹介します。

ここがポイント! 差がつくマイホームの頭金づくり

少し前までは、マイホームを購入するために頭金を貯めるのが一般的でした。しかし今では、「頭金なし」でも住宅取得ができる(物件価格次第で住宅ローンが組める)物件も多くなっています。そのため、住み替えのための手元資金はほとんどない状態でも融資計画がスタートすることが可能です。

住み替えを検討する場合、いま住んでいるマイホームを売却して、返済中のローンを完済することもできます。また、金融機関によっては、「買い替え専用ローン」が用意されている場合も。この買い替え専用ローンを利用すれば、ローンを完済していない場合でも、マイホームの売却代金と新しい住宅を担保に残債分も含めローンを組むことも可能です。

このように頭金なしで物件を購入できることも可能ですが、頭金なしでローンを組むことには多少なりともデメリットが伴います。頭金づくりのノウハウを知り、それなりの頭金を支払った人と、知らずに頭金なしでローンを組んだ人とでは、今後の返済計画に大きな差が生じます。

頭金はどうやって貯める!?

頭金づくりは住宅ローン計画のスタート地点。具体的にどのように貯めたのか気になる人も多いことでしょう。

頭金を貯めることができた人は「収入のある人」「投資などをして大きな資産がある人」「親からの支援がある人」をイメージする人も多いかと思いますが、実際はそうではなく、多くがそれぞれの家を持ち、さまざまな家計を持っている人ばかりです。

実際頭金についてのさまざまなアンケートを総合した結果、「自然と貯まった」という回答が半数以上でした。支出を控えた結果、お金を貯めることができたと答える人が多く、住宅購入のために定期預金をするという計画的な人は、意外にも少なくなっています。「新しい仕事を始めて収入を増やした」「投資で元金を増やした」という人も少ないようです。

住宅という大きな買い物をする場合は、支出を控えて計画的にコツコツとお金を貯めて頭金をつくるのが理想です。最近では、貯金をする為の心構えや体験者の口コミ、便利なサービスも増えているので利用してみるのもいいでしょう。

10年間かけてコツコツ貯める方法も

頭金を作って住宅購入を検討する場合は、大きく分けると2つのタイプに分かれます。

 

    「時間をかけて頭金を貯めて、欲しい家をじっくり選ぶ」
    「計画を立てずに、少ない頭金で買う」

 

25歳から35歳の10年間で夫婦がそれぞれ毎月2万円ずつ貯金すれば、約500万円貯まる計算となります。この10年間は、仕事のポジションや収入が変わる、趣味や理想が変わる、など人生が大きく動く時期でもあります。中には、子どもができるなど、環境も変化する場合もあるでしょう。

そのような場合でも、コツコツ貯金をして頭金を作るスタイルなら、変化に柔軟に対応できます。経営コンサルティングの専門分野でも、大きな資産を持つ前の準備を推奨しており、頭金の組み立てはよりよい人生の要といえる重要なプランとも言えます。

年収が低いほど得する「住宅購入者向け支援政策」とは

「住宅購入者向け支援政策」とは、2014年4月の消費増税時に導入した住宅購入者向けの給付制度。消費税率8%時は収入額の目安が510万円以下の人を対象に最大30万円、10%時は収入額の目安が775万円以下の人を対象に最大50万円を給付するものです。

この政策には、年収が低いほど支援を手厚くし、消費増税後の住宅市場の落ち込みを防ぐ狙いがあります。また、期限切れ間際だった住宅ローン減税を4年間延長し(適用期日は平成31年6月まで)控除額を消費増税後に年間最大40万円に拡大することも決定しています。

また、今回は現金で住宅を買う人も給付対象となっています。中高年層が退職金などを取り崩して現金で家を新築するケースも多いことから、こうした層の負担軽減が必要と判断されたために実施されました。現金購入者には年齢制限を設け、対象を明確にするだけでなく、さらに省エネ性能など機能性をより先進的にした住宅を買う人に対する支援となっています。

国土交通省のサイト「すまい給付金」では、年収や取得時の適用消費税率などを入力するだけで、いくら給付金が給付されるかシミュレーションできます。

貯めた頭金を賢く使うために覚えておきたいこと

頭金を賢く使うためには、絶対に支払わなくてはならない支出を抑えることが重要となってきます。そのひとつとして挙げられるのが「税金対策」です。住宅という財産を所有するためには、無視できない税金が多く存在します。せっかく貯めた頭金は、税金に支払うだけではなく、賢く使っていきましょう。

住宅購入や建設にあたり、住宅ローンを利用した場合、一定の要件を満たすと所得税や住民税について、住宅ローン控除の適用を受けることができます。住宅ローンを利用しない場合でも、「認定長期優良住宅」については、所得税の特別控除を受けられます。

 

<認定長期優良住宅とは>

住宅の構造及び設備が、「数世代にわたり住宅の構造躯体が使用できること」「極めて稀に発生する地震に対し、継続利用のための改修の容易化を図るため、損傷のレベルの低減を図ること」など、一定の認定基準を満たしたものです。主な適用条件は以下の通りです。

 

    ・その者が主として居住の用に供する家屋であること
    ・住宅の引き渡し又は工事完了から6カ月以内に居住の用に供すること
    ・床面積が50平方メートル以上あること
    ・店舗など併用住宅の場合は、床面積の1/2以上が居住用であること
    ・借入金の償還期間が10年以上あること
    ・合計所得金額が3,000万円以下であること

 

中古の場合なら、次の項目にも該当する住宅であることも求められます。

(1)建築後使用されたものであること
(2)次のいずれかに該当する住宅であること
    ・取得する建物が耐火建築物の場合は築後25年以内であること
    ・木造など非耐火建築物の場合は築後20年以内であること
    ・新耐震基準に適合する建物であること

   (この要件による特例の適用は平成17年4月1日から、申告時に耐震基準適合証明書を添付)
   ※既存住宅売買瑕疵保険に加入後2年以内の一定の住宅であることが証明された場合を含む

    ・親族や事実婚の相手など生計を一にする親族などから取得した住宅・贈与による住宅でないこと

 

参考資料:国土交通省・長期優良住宅法関連情報

 

このほか、住宅の維持保全の期間が30年以上であることなど一定の基準を満たす必要があります。住宅を建築し住宅の維持保全等を行う場合に、所管行政庁に長期優良住宅建築等計画の認定を申請することで、「認定長期優良住宅」となります。

古民家・中古住宅の可能性を高める

長期優良住宅の政策は、税金を配慮に置いた住宅プランの検討が個人の範囲で出来るばかりでなく、日本の伝統家屋である古民家の可能性を高めることにもつながります。また、新築物件を建設するにあたっての過剰な土地開発を抑制し、限られた土地の価値を見直す政策とも言えるでしょう。

< 環リノベーションのヒントは頭金を設ける住宅プランにあり >

頭金を貯めながら、対策出来る税金の控除や住宅ローンの選択肢は無数にあります。住宅ローンには、頭金のいらないシステムも存在しますが、一度組んでしまうと選択肢は一気に限られてしまいます。頭金を設ける住宅プランにこそ、リノベーションを後押しするヒントがあるとも言えるのです。

 

参考出典:

日本経済新聞/年収低いほど手厚く 増税時の住宅購入者向け支援策

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS2600B_W3A620C1MM0000/

 

国土交通省 すまい給付金

http://sumai-kyufu.jp/