実家の土地が農地だった!?

<実家の家じまい TOPへ戻る
<コラム一覧へ戻る

 先日、田舎に一人で住む母が、私たち兄弟に自分が亡くなった後の相続について話をしました。その際、初めて実家の登記簿謄本を確認したところ、一部の土地が「田」として登記されており、農地であることが判明しました。実は昔、その土地で他の人が畑をしており、その方が高齢で引退したときに、祖父と隣人たちがその畑を分割して購入していたのです。現在、その土地はコンクリートで整地され、物置が建っていますが、登記上はまだ「田」のままです。

 私たち兄弟は将来的に実家に引っ越すつもりはなく、母から相続したら家じまいを考えていましたが、このままでは売却がむずかしいことが分かりました。

自分の土地でも農地は自由に売買できない!

 農地は、たとえ自分の土地でも自由に売買することができません。宅地として売却するためには、次の2つの方法が考えられますが、どちらも都道府県知事の許可が必要です。

  • 農地を宅地に転用してから売却する(農地法第4条の許可が必要)※
  • 農地を転用し、売却する(農地法第5条の許可が必要)※

※いずれも市街化区域の場合、都道府県知事の許可は不要で農業委員会への届出で良いのですが、実家は市街化区域ではなかったので通常の許可が必要でした

 また、申請しても必ずしも許可されるとは限りません(詳しくはこちらのページのQ3をクリックしてご参照くださいhttps://styleoftokyo.jp/iejimai-check/#q3-answer)。例えば、耕作に適した農地は、保護のために転用が制限されたり、転用目的が農業保護の観点から適さないと判断されるなど、さまざまな理由で許可されないことがあります。

隣地の事例に助けられたけど。。

 私は母が健在なうちに農地を宅地に転用しておいた方が、後々の売却手続きがスムーズだと考え準備を進めました。まず実家の両隣も同じように畑の一部を購入して宅地として利用していたので、そちらの登記簿謄本をオンライン申請で取得して確認しました。すると一方の家ではすでに農地が宅地に転用されていることが分かりました。これにより、私たちの実家の土地も宅地に転用できる可能性が高いと判断し、市の農業委員会に隣地の状況も伝えて問い合わせたところ、申請すれば転用は可能だろうとの回答を得ました。しかし、その際、「始末書」の提出も必要であると言われました。

 祖父が農地を購入した際に適切な許可を得ていた可能性もありますが、すでに20年以上も前の話であり、農業委員会も該当する書類を過去の膨大な申請書から探し出すことは困難とのことでした。そのため、無許可で宅地として利用していた可能性があるとして、転用申請の際に「始末書」を提出するように言われたのです。「始末書」に添付する書類として宅地の地図(公図)を入手し、それに物置の位置を測って書き込むなど実家に帰らないとできない作業が含まれていました。

 最初は指示通り始末書を作成しようと思いましたが、登記簿(全部事項証明書)を見れば所有権を移転した日が分かるので、それより少し前のタイミングで前所有者が適切に申請しているかもしれないと考え、再度、農業委員会に相談しました。すると、予想通り前所有者が農地法第5条の手続きを取っていたことが分かりました。つまり、農地法上は適切に申請・許可されていたのです。 そうなると始末書は不要になり、あとは登記上の地目を「田」から「宅地」に変更するだけです。ただし、地目を変更する際に農地法第5条による許可を得ていることを証明するための書類が必要なので、それを農業委員会に申請して取得する必要がありますが、始末書作成に比べれば手間は大幅に削減されました。

まとめ

 今回、隣地の事例や登記簿謄本の情報を手掛かりに農業委員会の方にも協力頂いたおかげで比較的スムーズに進みましたが、必ずしもそうなるとは限りません。農地の転用や売却には地域の規制や土地の利用状況によって、許可が下りにくくなることもあります

 さらに、このような手続きは経験がないと難しく、適切な申請や必要書類の準備が不十分だと許可が下りるまでに想像以上の手間や時間がかかることもあります。

結論

家じまいしたい土地が農地の場合、許可が下りないことや多くの時間と手間がかかることがあります。 専門家に依頼すれば、手続きのプロセスを効率的に進め、ミスを防ぎ、許可の得やすい形でサポートを受けることができます。

時間と労力を節約し、確実に進めるために、専門家のサポートを受けることをお勧めします











この記事を書いた不動産エージェント

保手浜 勝
前職のコンサル業務で培った顧客の潜在ニーズを明らかにするノウハウを活かし、お客さまに最適なご提案ができるよう努めています。

今回、母から相続に関して実家の処分を任されたことで初めて実家の登記を確認したところ、所有地に農地が含まれており一部必要な手続きが行われていませんでした。
代々所有している土地を相続し、いざ売却しようとしても今回のように事前手続きが必要になるとスムーズに売却が進まないことがありますのでご注意ください。

  • URLをコピーしました!
LINEで簡単相談 Contactご相談・お問い合わせ